オリンパスEシステムの終焉

報道*1によると、オリンパスが従来型の一眼レフの新製品開発から撤退するとのことです。オリンパスは事件以来、低価格なコンパクト機からの撤退も表明していますので、カメラ部門はずいぶんスリム化されるのでしょう。
基本的には正しい選択だろうと思います。いわゆるマイクロフォーザーズ規格が出てくる前のフォーサーズ規格は、オリンパス等による比較的コンパクトな一眼レフカメラ用の画期的な規格のはずでした。
ところが、実際にカメラとして出てくるもの(例:E-300)はセンサーがそれまでのAPS-Cより小さくなっただけで、カメラやレンズはさほどコンパクトになっておらず、数あるAPS-Cのカメラよりもセンサー性能が低いだけのカメラになってしまいました。最初からミラーレス一眼として出しておけば、もう少し違った展開になっていたのではないでしょうか。
オリンパスデジタルカメラの歴史の中ではかなり水中使用に力を入れてきたメーカーで、E-300のようなフォーサーズ機でも専用の防水プロテクタを出していたのですが、コンパクト機に比べて水中での機動性を犠牲にするほど大きなメリットを見いだせず、流行には至りませんでした。
10年ほど前、まだフィルム用一眼レフカメラを見かける機会がそれなりにあった頃は、そこからの流れで水中用デジタルカメラとしても一眼レフを見かけることがありましたが、さすがに現在では業務用を除きほとんどなくなりました。
それに代わり今ではミラーレス機を水中に持ち込む人がそこそこいます。ミラーレス機の性能向上もさることながら、カメラ自体の大きさがよりコンパクト機に近づいたことにより、全体としてのコスト(飛行機持ち込みの手間など)が低下した事によるものだと考えられます。
そのようなわけで、オリンパスの開発体制の絞り込みは、水中写真の立場からも正しい方向性だと言えるわけです。

*1:オリンパス、ミラーレス特化で敷く背水の陣 一眼レフは開発凍結、コンパクトも高級機に絞り込み』東洋経済オンライン http://toyokeizai.net/articles/-/19382