昔の知り合いに似た女

電車の中で、学生のころ知り合いだったAさん(女性)に似た人を見かけました。Aさんは別に親しい友人というほどではなく、ただ見かければ声をかけることもあるくらいでした。しかもAさんは美形で、大概の男性からは人気があり、私などがどうこうする暇もないほどでした。
ある日Aさんとたまたまエレベーターの中で一緒になったときだったと思います。そのときもなんとなく挨拶程度に声をかけたのですが、珍しくAさんの顔を近くで見る機会のあった私は、Aさんの顔は確かに見るに値するほど美しい、ながらもどこか人間離れした、恐いものを見ているかのような錯覚を感じたのでした。見れば見るほど、何か背筋が寒くなるような、ホラー映画でも見ているような感覚、あれはいったい何だったのでしょうか。たぶんAさんは世間で言うところの美人です。しかしそれ以来、私はAさんを美人と思わなくなりました。
そんなどうでもいい思い出がトラウマとなり、偶然電車の中で見かけた顔をじろじろ見てしまったのでした。