サメがそんなに恐いか

昨日の日記に新江ノ島水族館へ行ったことと、その中のサメ水槽でアカシュモクザメを見たことを書いていたら、たまたま別の人の日記でアカシュモクザメのことを書いているのを見つけました(キーワードで探せばすぐ見つかります)。よくあるパターンで、アカシュモクザメホオジロザメなどと並んで「人食いザメ」として描かれています。
やはり世間では、スキューバダイビングとサメの関係について相変わらず偏見に基づいたイメージが根付いているようなので、ここで説明しておきましょう。

日本でサメがたくさんいるのは八重山だけではありません。

確かに与那国島のアカシュモクザメをはじめとして、八重山にもサメはたくさん現れます。日本では少ないホオジロザメなどは別としても、神子元島や日本海側にもたくさんのアカシュモクザメが現れることからも分かるように、サメが黒潮対馬海流に乗ってくる以上、サメは日本の様々な海を泳ぎ、海岸に迷い込んで現れる可能性があります。
例えば石垣島の海岸で海水浴客がサメに襲われたからといって、ことさら石垣島が危険だとは言えませんし、さもそうであるかのように騒ぐことは目の前のリスクだけを見ているにすぎません。

ダイバーが襲われる確率は、サーファーや海水浴客が襲われる確率よりもかなり低い。

なぜならば、特に人慣れしていたり餌付けされているものを除いて、水中の多くの生物はダイバーの吐く泡が嫌いです。サメに嫌がらせをすれば襲ってくるかもしれませんが、何もせずただ見ているだけのダイバーを襲う必要はあまりありません。
対して、いつも水面付近にいるサーファーや海水浴客は、よく言われるようにカメなどに間違われて襲われることがあるようです。

ダイビング屋さんがサメのことを隠す必要はありません。

「ダイビング屋さんはサメの危険について何も説明しない」ようなことを言っている人がいますが、そんなことはありません。上記のようにダイバーにとってサメのリスクは低いので、隠す必要などないのです。
また、私の経験では、ダイビングをしていない人で「ダイビングは恐い」という人のかなり多くはサメのリスクをあげますので、ダイビング屋さんがお客さんに対する説明でサメのことに触れないのはまず無理でしょう。

そもそもサメを特別視する必要もありません。

サメは広い海の中では数多くあるリスクの一つでしかありません。クラゲ、オコゼ、オニヒトデなど、いずれも人食いザメに襲われることよりずっと遭遇する確率が高く、致命的なものばかりです。海ではサメが抜きんでて危険というわけではありません。
また陸上でも、例えば最近では町中にいてもツキノワグマに襲われたりしますね。海の生物だけが人間にとって特別危険というわけではありません。

一番危険なのは人間です。

これはオマケで本筋ではありませんが、昨日見に行った新江ノ島水族館で説明されていた事です。人間はサメに襲われるよりもはるかに多くサメを襲っています。もちろんサメだけでなく、場合によっては種を絶滅させるほど魚類を襲っています。サメが人を襲うことは、よく考えてみれば結局お互い様なのです。