尼崎で起きた列車事故は

かなり怖いものがあります。いつでも自分が遭遇しうる事故だからです。特に(単独事故であったにもかかわらず)1〜2両目のつぶれ方が尋常でないのは怖さを越えてあっけにとられてしまいます。
日本人は日本の鉄道は世界トップクラスの安全性と正確さを持っていると思っています。おそらくその通りでしょう。しかし、大量輸送機関ですから事故が起きたときのインパクトの強さは自動車などとは比較になりません。今回はまさにそれを理解させる大惨事になってしまいました。
1両あたり10トンからの荷物を載せた30トンの車両が10両くらいつながって、ときには時速100kmくらい出して走るわけですが、左右方向には車輪がたった2.5cmのフランジで引っかかっているに過ぎません。しかも、車両の幅は2.8mもあるのに線路の幅は1067mm*1です。ですからちょっとした縦横のバランスの崩れで簡単に脱線してしまうのです。
鉄道って実はすごく微妙なバランスの上で走っているわけです。
そして、気になるのがこういうときに誤って使われる「安全神話」という言葉。「神話」というのは、もともとそれが事実でないことを表しています。だから「安全神話が崩壊」という表現は「安全だと思っていたら安全でなかったのに実は安全だった」という意味になり、間違いです。

*1:JRの在来線の場合。