救い慣れないものは救われない

朝の混雑する電車が大きな駅に到着したときです。たくさんの人が降りますが、乗ってくる人もそれなりにいます。
たぶん、奥の方の優先席に座っていたのだと思いますが、年配の人が降りる人の流れからやや遅れて降りようとしていました。ところが、ドアのところまで来てなかなかホームに降りようとしません。おそらく脳の病気をしたか、障害を持っていてなかなか数センチ低い、数センチの隙間を越える「あと一歩」が出ないようです。彼は、ほとんど一旦動きを止めてしまいました。
近くにいた若い人が手を貸してあげようとしたのですが、なぜか年配の人はそれを拒否しているようです。もうとっくに乗る人は乗り終わっています。それでも「自分で歩けるんだからこのくらい助けてもらうなんて恥ずかしい」とでも思ったのでしょうか。時間はかかったものの、やがて年配の人は何とか自力で電車を降りてどこかへ行ってしまいました。
たぶんその年配の人は、人を助けたこともないから、助けようとした人の気持ちも分からなかったのではないでしょうか。これは、昨年私が特別養護老人ホームへ研修に行ったときにも感じたことです。これから世の中が高齢化してくるのに伴って、このようなことを感じる場面も増えてくるのではないでしょうか。