一眼レフは水中写真を「撮りやすい」か

物事を比較する時は、ちゃんと「どういう土俵に乗っている話か」っていうのを考えなくてはいけないですね。
水中写真の話をする時は、カメラ性能の技術的な面だけを言ってもあまりフェアな比較にはならないわけです。そんなのは地上写真を撮る人がやってればよいこと。地上写真と水中写真は、少なくとも方法論においてはまったくの別物です。
先週も書きましたが、デジタル時代の一眼レフのメリットには優れた光学系、レンズ選択の余地、素早いAF、連写、階調性などが挙げられます。これらの特徴によって「地上写真では」一眼レフの方がコンパクト機よりも表現の幅が広くなりそうな気がするし、それをもって思ったような写真を「撮りやすい」と言えるかも知れません。
水中写真ではどうでしょうか。この中で重要なのは階調性だと思いますが、これは一般的に一眼レフの方が優れています。ところがそれ以外の特徴は、水中写真においては実はわりとどうでもよいことです。
ダイバーとして水中写真を撮るなら、自宅でのパッキングからポイントまでの輸送時の負担、EN/EXの負担、水中での負担、普段のメンテナンス、結果として次のダイビングにどういうモチベーションを与えるか、さらにその結果どちらがカメラと一緒に潜る機会が増えるかということまで見て「撮りやすい」かどうかを考えなくてはいけません。
唯一残った「階調性」を取るために一眼レフを選ぶのは、悪くない選択だと思います。それは有意義で私もたまに考えなくもないのですが、何しろ繰り返し言っているように、一般ダイバーにはそのメリットを取るためのデメリットが大きすぎます。しかもそういうことを考えるなら、フィルムカメラを選ぶことも考えるべきでしょう。