水中写真コンテストのAGS系

2度目の参加となる今回のフォトコンテスト(水中部門)でちょっと感じたのは、そのイベントとしてのコンテストがどっちの方を向いて何を目指しているのかをはっきりさせないといけないなーということです。単なる応募者としてだけでなく、盛り上げていく側として。地上部門は知りませんが。
コンテストといっても、順位を競うだけが目的ではないことはたぶん間違いないんですね。でも皆がイベントとしてのレベルを上げたいと考えていることは確かだ。となると、水中写真コンテストというのはどういうものであるかをもう一度考えたいと思ったわけです。
これまで多くの方とおはなししたり、自分でいろいろな水中写真を見て、水中写真コンテストには3つの軸があると思うのです(地上写真は知らない)。

  • A:芸術性。地上写真の概念から持ち込まれたと思われる、隠されたメッセージ性や曖昧さ・複雑さと定番の組み合わせ、それらから来る難解さを求める古典的な軸。
  • G:一般性。誰が見てもきれいという美しさ、あるいはびっくりするような新鮮さ、あからさまなメッセージ性を求める、最もありふれた分かりやすい軸。一般受け度合い。装飾性と言ってもいいかも。
  • S:主観性。撮影時の意図だけではなく、結果に対してどう感じているかを重視する軸。例えばタイトルを見るとそれが伝わってくることがある。自己満足性といってもいいが、これはまだ説明が難しい。

上記の呼び方「○○性」が本当にこれで的確なのかどうかはっきり分からないですが、色覚の世界を表すのにもRGB、CMY、YUV、Labなどいろんな系があるように、水中写真コンテストにもいろんな評価基準の系があると思っていて、その一つの整理のしかたとしてそんなふうに考えてもよいのではないかと思うわけです。
これらの軸たちを勝手にAGS系と名付けましょう。世のダイビング雑誌や水中写真コンテストがすべて同じAGSのバランスを持っている必要はなく、むしろ違っていた方が個性があっておもしろいわけです。
例えば、マリンダイビング系の雑誌やイベントは「どちらかというとGに近いA-G上」とか、ダイビングワールド系なら「もうちょっとSに近いかな」など。
座間味島のフォトコンテスト(水中部門)については、残念ながらまだAGSのどこに重きを置くかが定まっていないようです(地上部門は知らない)。個人的にはAに近づくことなくSに寄せて独自色を出して欲しいのですが、いずれにせよコンテストとしての存在感を出すには、今後の積み重ねによってそのあたりを明確にしていく必要があるのではないでしょうか。