日本魚類学会による言葉狩りについて その3

昨日から突然、「イザリ(ウオ)」「カエルアンコウ」「差別」などの組み合わせでのヒットが爆発的に増えました。昨日がユニークで400件弱、今日も200件以上です。たぶん、YOMIURI ONLINEに記事*1が出たのが直接の原因でしょう。
その1その2でだいたいの状況について触れましたが、要点はこんなところかな?

  • すでに広く使われている名前を標準和名として(そもそも忘れられた差別など過去の物として)使い続けるか、それとも「差別語」を作り出すことにより(忘れられた差別まで思い出させて)「くさい物にふた」的アプローチで言葉狩りを行うのか、どちらが不当な差別を助長しているのかをよく考えてください。これはかなり重要な問題です。
  • 日本魚類学会がどのような結論を出したからといって、私たちが使う呼び名を標準和名に従わせる必要はまったくありません(イザリウオイザリウオと呼べばよいし新名称でもよい)。
  • 新しくもう一つ。「議論することに意義がある」という人もいますが、今になって爆発的に検索されていることから見て、前出の記事を見て初めて(改名の議論を)知ったという人がかなりいるであろうことは容易に推察されます。しかしながら、学会の標準和名検討委員会による意見募集*2は11月末にすでに締め切られており、広く意見を聞いたといえるかどうかは疑問です。

そして、ここへきて(少なくともweb上では)疑問を唱える声がかなり目立ってきていることに、少し安心感を持っています。仮にイザリウオなどの標準和名が改名されたとしても、ぜひ無視していただきたいと思います。
ひとつ間違いやすいのは、「名前を変えても差別はなくならない」ことが問題なのではなく、「言葉狩り自体が差別を助長する」ことが問題なのです。であるからこそ
一般ダイバーが日本魚類学会による言葉狩りに荷担する必要はありません。
良識あるダイビングやさんは、「さあこれからはカエルアンコウと呼びましょう」などと、差別を先導しないようお願いします。
この件はとりあえずここで一息。

*1:YOMIURI ONLINEの記事『「バカジャコ」はダメ、差別語含む魚30種を改名へ』http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20070106i507.htm

*2:魚類の差別的和名の改名に係わる意見募集(募集は終了しました)http://www.fish-isj.jp/iin/standname/opinion_collection/index.html