鏡の中と「3Dテレビ」

某駅でNintendo 3DSが展示されておりまして、それをのぞき込んでふと思いだしたこと。3DSとほとんど関係ないんですが、昔から「鏡の中の世界って左右は逆になるのに、どうして上下は逆にならないんだろう?」と疑問に思っていました。説明の方法としては何通りかありますが、そもそも「鏡の中の世界」という仮定が存在しないものなのでどうかなという気もします…。
ところで別のところに書きましたが、テレビやカメラで最近言うところの「3D」というのは甚だいい加減なもので、その実これは3次元でも何でもありません。昔からあるステレオグラムととまったく同じです。
3DSや「3D」テレビの宣伝などでの画面が飛び出してくるかのような表現はまったくおかしなものです。メガネをかけようがかけまいが、画面を見ている事には変わりないので、画面の外に物は見えません。だから原理上 画面を飛び出して見えるような事はあり得ず、画面の中に奥行きが感じられるだけなのです。この「理想と現実のギャップ」が、3Dテレビの販売が苦戦している原因の一つではないかと私は思います。
左右の目で2枚の画面を見ているだけなので3Dと言っても情報量は2倍になっただけで、絵の裏側の情報などは何も含まれていないわけです。そのため、自分で視点を変えたり見る方向を変えたりする事もできません。のぞき込んで「ちょっとだけ向こう側を見る」ことができないのは、実は「3D」テレビの大変なストレスです。
そのような事ができる立体映像を再生しようとすれば、2倍くらいの情報量で済むはずがありません。なので正確には、今あるものは「3Dテレビ」ではなく「2D×2テレビ」が正しい呼び名です。
実はとっくに本当の3D(3次元)を再現する機械が存在します。それは、奥行き方向でなく時間方向に3つ目の次元を取ったビデオです。これは巻き戻し・早送りなども自由自在で、その自由度の代わりに静止画よりもかなり情報量が多くなります。
このように「3D」と呼ばれている映像(動画)は本当は4Dであるべきで、それをきちんと映そうとすれば、写真とビデオの差と同様に桁違いの情報量を処理しなくてはならないはずです。