茶番劇と選挙を見て

前回5月31日の日記を書いた後、政治の世界ではちょうど内閣不信任案否決の茶番(6月2日)があったのですが、6月6日にある記事*1やその他一部の記事では、民主党への支持が若干回復しているのがまるで驚きであるかのような記事がチラホラあって、なかなか興味深く感じました。
しかしこれは、全然意外なことではありません。マスコミとしては「菅首相が辞意」の憶測を裏切られ、そのメンツ上菅さんが辞任することを既定路線にしているようですが、菅さんが辞めると言ったことがないのはたぶん事実です。私の推測ですが、今回の茶番劇を通じた一般的な国民の感じ方としては

  • 民主党のやり方が良いとはいえない。でも自民党がやってたらもっと良かったとも思えないし、そもそも原発作りまくって今の混乱(人災と言われる原発事故)の大本の原因を作ったのは自民党じゃないか。(自民党民主党を攻めきれない理由は、まさにココ)
  • 菅さんはリーダーに向いていない。でも首相が変わりまくり、また次にどこの馬の骨か分からん政治屋が自分たちのリーダーになるのはたまったものではない。そのリスクを比較すると、まだ現状維持の方がましだろう。
  • 後になってだまされたと騒いでいる鳩山さんもお馬鹿丸出しだが、まんまと作戦に失敗した谷垣さん、勝手にだまされたマスコミも大概だ。結局、茶番の勝者は菅さんだけじゃないか。

…というあたりだと思われ、実は菅さんを積極的に辞めさせる理由はあまりないのです。もし今が自民党の時代だったらどうでしょう?自らが造った原発が自らの首を絞め、癒着した電力会社に責任を負わすこともできず、さらに酷いことになっていた可能性もあります。「菅さんは何もやってないじゃないか」と言う批判もありますが、明示的に電力会社に責任を負わせようとしているだけましかもしれません。浜岡原発を止めることも(その正否は後の歴史を見ないと分かりませんが)、自民党にはできなかったでしょう。
そのような雰囲気では変化を嫌う日本人の気質と相まって民主党の支持がやや回復するのは順当な反応だろうと感じるのです。前回説明したように、そもそも菅さんが当面続投するというのは、多くの国民にとって何も意外なことではありませんでした。この辺は、産経のみならずマスコミ一般の報じ方が、人々の感じ方とずれている部分だろうと思います。
もちろん、政治家という存在への信頼度はゼロに近いなかでの低レベルな事象だとは思いますが。
さて、ちょうど同じ頃(6月5日)、青森県では知事選挙があり、圧倒的多数で原発推進派が勝利したそうです。これはつまり、今の福島の惨状を目の当たりにしても、事ここに至っても、まだ経済的メリットがリスクを(かなり)上回るという判断だと思います。
もしこれが福島県だったら、どのような結果になるのか大変興味深いのですが、青森県の件から判断すれば、核施設の立地によっていかに地元が莫大な利益を得ているかが理解できます。そうなると、今回の原発事故においても「地元が一方的な被害者として扱われるのはおかしいのでは」という感情も、普通なら他人事過ぎて無神経な思考と考えがちですが、実はあながち的外れでもないような気がしてくるものです。

*1:Yahoo!産経新聞記事「投票先調査 民主、自民を抜く“辞意”効果 10ポイント回復」http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110606-00000079-san-pol