知能が感じられない

今回の震災での原発事故が国際基準(暫定評価)でいうところの「レベル7」に引き上げられたということで、予想通りヒステリックな反応が(特に海外で)起きているようですが、0だろうが7だろうが、事故は解決していない、そして解決に向けて一生懸命作業中であるという現実は何も変わらないわけです。
いつもどんな方向からでも民主党政権の足を引っ張ることに精一杯努力している産経が、またぞろ「レベル7」からも足を引っ張りたいらしく、ハチャメチャな論理を展開しています*1
保安院の発表には矛盾がある」のだそうです。何のことかというと、「福島事故で放出された放射性物質の量は、チェルノブイリの10分の1に過ぎないと認めている」「数時間、最大で毎時1万テラベクレルの能力を持つ放射性物質が外部に放出されていたと報告された」「しかし、今はその1万分の1に減っている」からだそうです。これらの数値は「レベル7」の評価とは関係がなく、どこにも「矛盾」とやらが説明されていません。
ちなみにある情報*2によると、「INES=国際原子力事象評価尺度」の「レベル7」基準とは「放出された放射性物質の量が数万テラベクレルを上回る」ということのようです。基準は必ずしも一つではないようですが、原子力安全委員会はいまのところ「63万テラベクレル」と推定しているようですから、記事で説明されている範囲では何の矛盾もありません。
で、このハチャメチャな理屈をもって、一人前に「菅政権は…国際感覚が問われよう」とのことです。産経の目的は、問題の解決ではなくて政権批判なんですね。
別に民主党政権の国際感覚が優れているとは思いませんが、(直接でないとは言え)いちおう選挙の結果できた政権なんですから、こんな時でもプロパガンダに縛られて批判するならそれなりの知能をもってやってくださいよ。

*1:イザ!「福島レベル7 「最悪」評価はおかしい チェルノブイリとは全く違う」http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/502217/

*2:文部科学省 原子力安全課「原子力防災基礎用語集:国際原子力事象評価尺度(INES)」http://www.bousai.ne.jp/vis/bousai_kensyu/glossary/ko18.html